竜田揚助の数理科学解説所

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今後記事を増やしていく予定ですので、今のうちにサイトマップのようなものを作っておきます。

 

 

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ほとんどが準備中でひどい虫食いにあったような状況ですが、長いスパンで着々と記事にしていく予定ですのでどうぞごひいきに。。

今週のお題「自分に贈りたいもの」思いつかないけど書いて見た。

今週のお題「自分に贈りたいもの」

なにがあるだろうか、自分に送りたいもの。言われてみると困り果ててしまう。振り返ってみると自分で何か買うときは大体突発的衝動によるものが多い。買い物が下手なのだろう。

数分考えて気がついた。いや待てよ、自分に贈るっていうのは別に何かを買うってこととイコールではないな。と。例えば愛情。そう最近の若者には自己肯定感が足りないというし、自分もそうだ。だから少しは自分に愛を持って接するっていうのもいいかもしれない。

あるいは時間。ゆっくりする時間をあげるっていうのもまたよい。最近は案外忙しかったから。

だがしかし、なんだか釈然としない。自分に愛情を送る、時間を送るって。ロマンチックすぎて自分らしくない。

この消費社会から循環型社会にシフトチェンジしようとしているものの、ごく僅かの意識高い系以外はやはり消費することに楽しみを見出している社会において、形にならないものを送るというのはなんだかそれじゃない感がある。形なき物を贈られても絶対に納得できない。何か物を貰わないと絶対に素直に喜べない。それは私が旧型だからだろうか。

そこで仕方がないから一つ何か物体を自分に贈る事にしよう。何がいいだろうか。わからない。満たされていないけれど、いったい何で満たされたいのかはわからない。これは深刻な病だ。自分が何で満たされるかがわからないから、きっと余計な物を買ってしまうのだろう。そうに違いない。これは多分私の抱える1番の問題だ。

それならば、自分が真に欲しい物のリスト帳。これを自分に贈れば良い。それがベターいやベストだ。そうすれば全ては解決する。私は満たされる。万事解決。なかなか簡単なお題だった。

最後に些細な問題であるがそれはどこにいけば売っているだろうか。東急ハンズはなんでも売っているからいつかの休日に行ってみようか。きっとあるはずだ。文房具売り場の端の方に。

【流れがわかる流体力学】part9 渦糸の二体問題

前回導出した'渦糸についての保存量'を用いて、二次元流体中に渦糸が二つある場合の運動を解析することが今回のトピックです。

流体の状況は前回と同様に、二次元/完全流体/非圧縮性とします。

それでは早速、今考えたい状況を図にしてみることとします。そうするとちょうど下図のようになるでしょうか。Γ₁とΓ₂は渦糸の循環を表しており、r₁とr₂は渦糸の位置ベクトルになっています。

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この状況下では一方の渦糸が他方の渦糸の運動に影響を与えることで渦糸は二つとも動いてしまいますので微分方程式を立てようとすると困ってしまいます。しかし幸にして、私たちは前回の記事の内容から、保存量が存在することをすでに知っています。その保存量は4つありますから有効そうなやつから順に試してみましょう。確かハミルトニアンっぽい保存量がありましたので、それを使ってみると、

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となり、二つの渦糸の距離は一定であるという重大な性質を得ます。また、運動量保存則っぽいやつを使うと、

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になります。これは完全に古典力学における惑星のの二体問題と同じ構図では無いかということで、力学における二体運動と同様に"重心"を原点とする位置ベクトルを用いて記述していきます。そうするとちょうど下図のようにかけますので、

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"重心"を原点とする適当な平面座標を取ると、

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と表記されます。

この表記を用いて、角運動量保存則っぽいものを考えると、

f:id:Hannak:20211111190214p:plain

と計算されて完全に渦糸の動きを把握することができました。

 

渦糸についてもう少し詳しくみていくとカルマン渦などの面白い現象を取り扱うことができますが、とりあえず今回は二体問題だけ扱って、次回以降は別のトピックへ移りたいと思います。

 

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【簡単な量子力学】part3 波動関数の導入と確率解釈

今回は量子力学の分野で有名な波動関数というものを導入し、それに存在確率の概念を付加していきます。

【目次】

 

測定と固有ケット

前々回の記事(簡単な量子力学part1)で基本原理を紹介した際に「我々が観測によって、知ることができるのは観測可能量を表す演算子固有値だけである」といった趣旨のことを述べました。これはつまり、ある物理状態を表している状態ケットは、観測可能量を観測することによって、固有ケットに移ってしまうということになります。ちなみに、いくつもある固有ケットのうち実際に移るのはどれなのかは確率に支配されています。

イメージ的には、

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という風に飛び移ると解釈すると良きです。

 

確率解釈

ここで、観測可能量をA, その固有ケットの一つを|a'>, 状態ケットを|α>として、

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という複素数の数を定めます。これはa'によって値が変わりますな。こうして定まる関数ψ(a')を波動関数と呼びます。

 さらに波動関数の大きさの二乗をρで表し、確率密度と呼びます。

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この関数を確立密度と呼ぶというというよりかは、

「ψ*(a')ψ(a')は観測可能量Aの観測の結果がa'である確率である」

ということをひとつ量子力学の基本原理とする方が正確です。

 

観測可能量の期待値(平均値)

いま、観測可能量Aに状態ケットと状態ブラを掛け合わせたものを考えてみます。計算していくと、

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のようになります。この式は'固有値にその固有値が観測される確率を掛け合わせたもの'を足し合わせていますので、まさに観測可能量Aの期待値(あるいは平均値)を表しております。

 

状態ケットの規格化

part1の記事で紹介した基本原理で、「状態ケットはスカラー倍しても同じ物理状態を表す」といった趣旨のものがありました。そのため状態ケットの大きさは任意で良いと述べましたが、波動関数に対して確率解釈の概念を当てはめるには

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を満たしていなくてはなりません。このとき、実際に

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のようになりますので、「確率の総計は1」という確率論の規則にあっています。

 一方で、<α|α>≠1であればΣρ(a')≠1となってしまい確率の総計が1ではなくなります。これでは確率解釈ができませんので、この場合は不都合です。

 これらの事情から、確率解釈を可能とするには<α|α>=1であることが条件になるのです。

 

以上によって、量子力学に確立の考え方と期待値の求め方を導入することができました。次回はいよいよ具体的に演算子を求めてシュレーディンガー波動方程式の導出につなげていきたいと思います。

 

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【簡単な量子力学】part2: 交換関係と同時固有ケットの導入

今回は前回紹介した基本原理をもとにしてケットの諸性質を見ていきます。

 

【目次】

 

二つの基底ケット

前回の記事で導入した基底ケットというものは、ベクトル空間における基底ベクトルのような役割を果たしてくれておりました。この類推に基づくと、線形代数で基底ベクトルの取り替えが話題になるように、ケット空間における基底ケットの取り替えについても是非考えるべきと思われます。早速、

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という二つの基底ケットを用意します。基底ベクトルの取り替え行列に対応する演算子をUとして、この二つの基底ケットは

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という関係式で書かれることが期待されます。Uを具体的に

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としてみますと、

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となることから、これは確かに基底の取り替えを行う演算子になっています。

また、線形代数において、2つの正規直交基底間の取り替え行列がユニタリー的だったように、今出てきた演算子Uもユニタリー的であることが予想されますが、実際

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という計算から、

f:id:Hannak:20211110192154p:plain

がわかります。(|c‘>が任意の状態ケットで良いため)この式を用いて、

f:id:Hannak:20211110192200p:plain

となることがわかりますから、やはり演算子Uはユニタリー的であったことが証明されます。

 

縮退のある場合

これまでは固有ケットをその固有ケットの値によって表していました。例えば、

固有値a’を持つ固有ケット……|a‘>」

のように|…>の中身にケットの固有値を入れることで、その固有ケットを特徴づけていたのです。しかしこの作戦には重大な欠点があり、一つの固有値に複数の固有ケットが属していた場合(このような状況を、固有ケットが縮退していると言います)、それらの固有ケットを区別して記すことができません。

(縮退のイメージとしては下図のように一つの固有値に複数の固有ケットが属しているという感じでしょうか。)

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 この問題点を解決するには、’縮退している固有ケットを区別するための適当な番号’を固有ケットの右肩あたりにつけてやれば良いと思うかもしれませんが、それはあまり有意義なことではありません。というのも、前回の記事で基本原理として述べたように、我々が観測によって知ることができるのは固有値だけであり、同じ固有値を持った異なる固有ケットにそれぞれ通し番号がついていたとしても、我々にその番号による違いを知る手段は無いのです。そのような机上の空論に過ぎない方法よりも、実際に観測することができる違いによって縮退した固有ケットを区別する方法のほうが意味がありましょう。

そこで別の観測可能量B(観測可能量とは観測することができる物理量を表す演算子のことです)を取ってきてその固有値を{b^(n)}と書くことにします。もし仮に観測可能量AとBが全て共通の固有ケットを持っていれば、下図のようになるでしょう。(青線は固有ケットを表しています。)

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そしてありがたいことにも‘各々の固有ケットが属するAの固有値とBの固有値’の二つの情報によって固有ケットをユニークに指定することができたなら、このときの固有値を並べて

|a', b'>

のように表現することで先ほど述べた問題点を解決することができます。

それでもまだ固有ケットをユニークに表現できないのであればもうひとつ都合の良い観測可能量を見つけてきて(それをCとします)

|a', b', c'>

と表せば良いでしょう。一般に先ほど述べた問題点を解決するためには、同じ固有ケットを持つ観測可能量を必要なだけたくさん探してくれば良いということになります。このような特徴を持った観測可能量を同時観測可能量と呼びます。

 そこで次の関心は、「一体そのような観測可能量をどうやって探し出せば良いのだろう?」といったものになります。つまり、二つの観測可能量が同時観測可能量であるための必要十分条件を探し出したいのです。

まずは同時観測可能量であるための必要条件を見ていきます。二つの観測可能量をAとBとして、二つは共通の固有ケットを下式のように持っていたとします。

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これを用いてAB−BAという演算子を考えると、任意の固有ケット|x'>に対して、

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になりますから、

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となります。(上の赤字の[A, B]=AB-BAという演算記号を交換子と呼びます。)

つまり、交換子が0になるのです。(このように交換子についての関係式を交換関係と言います)

以上から、必要条件は[A, B]=0です。

 次にAとBが同時観測可能量になるための十分条件について見ていきます。

a', a''をAの固有値、|a'>, |a''>を順にa', a''に属す固有ケットとして、[A, B]=0を仮定すると、

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となりますので、a'≠a''であれば、<a'|B|a''> =0になることがわかります。(最後の式で0になるのは[A, B]=0を仮定しているためです。)

クロネッカーのデルタを使えば、上式は

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となります。この式を用いると、Bは

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と表せますので、(完備関係式を用いました。完備関係式について詳いことは前回の記事をご覧ください。)

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という風に変形されます。この式はAの任意の固有ケットである|a''>が実はBの固有ケットでもあることを示しています。つまり、観測可能量AとBの固有ケットは同一なのです。これはつまりAとBが同時観測可能量であることを示してますので、[A, B]=0が十分条件でもあることがわかります。以上の必要性と十分性をまとめると、

「[A, B]=0⇔AとBは同時観測可能量」

という重大な結果が得られます。よってこれから同時観測可能量を見つけたい時は、交換子を調べれば良いのです。

 

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【簡単な量子力学】part1(量子力学の基本原理/ケットとブラの基本)

 この記事では何回かに分けて量子力学を解説していきます。いくつかの原理をはじめに提示し、そこから自然な流れで議論を展開していきます。なるべく前提知識を必要としないようにしますのでどうぞ気楽にご覧ください。

 

【目次】

 

量子力学の基本原理

まずは量子力学の基本原理を述べていきます。ここで述べる原理の根拠は何なのかと懐疑的になるのは至極当然なことでありますが、この原理に基づいた議論がきちんと現象を説明してくれているというのが一番の根拠であるということで現時点ではとりあえず認めてしまいましょう。

 

  1. 物理状態はケットと呼ばれるベクトルで表すことができて、逆にケットは物理状態についての完全な情報を持っている。(ケットは「❘α>」のような記号で表します。)
  2. cをスカラーとして、❘α>とc❘α>は同じ物理状態を表す。
  3. 任意のケット❘α>には双対対応するベクトルが存在し、それをブラと呼んで<α❘と記す。そして、c₁❘α₁>+c₂❘α₂>の双対対応はc₁*<α❘+c₂*<α❘とする。(「*」は複素共役
  4. ブラとケットは次のような結合律が成り立つ。:(❘α><β❘)(❘γ>)=❘α><β❘γ>
  5. 位置や運動量などの観測可能な量をそのまま観測可能量と呼ぶこととして、観測可能量はケットに作用する演算子となり、演算子が作用したケットもまたケットとになる。
  6. Xを演算子として、X❘α>の双対対応はX†❘α>と表される。
  7. 任意のケット❘α>に対して、X❘α>=Y❘α>であれば、二つの演算子XとYは等しい。:X=Y
  8. 任意のケットは、‘ある観測可能量の固有ケット‘の線形結合で表せる。
  9. ある観測可能量に対して、実際に観測されるのはその観測可能量の固有値である。

 

以上がとりあえずの基本原理です。これにプラスでいくつか付け加えることになりますが、基本的にこれを前提として議論を進めていきます。

 

基本概念

内積外積

<α❘β>は内積になると要請します。つまり次が成立するのです。

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また、❘α><β❘は外積と呼ばれる演算子になります。

 

基本原理8より、ある観測可能量の固有ケットの集合はケット空間の基底となることが分かります。線形代数の知識から異なる固有値に属する固有ベクトル同士は直交することが分かりますので、固有ケット同士は直交します。

さらに基本原理2より、固有ケットになんかしらのスカラーを掛けることができますので、<α❘α>=1と規格化しておいてよいでしょう。

以上の理由により、今後考える基底ケット(規定として用いる固有ケットのこと)は完全正規直交系であるとしても良いことになります。

 

基底ケットによるケットの表現

基本原理8より、ケットは基底ケットを❘a'>として、

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と表すことができます。(本稿ではJJ Sakurai「現代の量子力学」に倣って、固有値a'に属する固有ケットを❘a'>で表すことにします。)

この式の係数Ca’を求めるためには、<a''❘を掛ければよく、

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のように求めることができます。(基底ケットが正規直交系であることを用いました。)

このことから、二つ上の式はのケットは、

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という関係式を満たします。この式に基本原理7を適用すると、

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という重大な関係式が得られます。これを完備関係式と呼びます。(1は数ではなく恒等演算子です。)

次ではこの関係式の利用例の一つをお見せします。

 

演算子の行列表現とケットのベクトル表現

完備関係式は左辺が恒等演算子になっていますので、ブラやケットの式の間に自由に挿入することができます。例えば、

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といった感じです。ここで表記を簡明にするため、必要に応じて基底ケットを

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のような上添え字付きの文字で表すこととします。そうすると二つ上の式は、

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のような行列の演算と同値であることが分かりますので、演算子Xは、

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のように行列式で表記すると便利であることが察せられます。この表記を演算子の行列表示といいます。

これと同様のことを、ケットについてもやってまります。

完備関係式を用いると、

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となり、これをベクトルと行列を使って表すと、

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になりますので、結局、

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と表すとよいことが分かります。

これで完備関係式の使い方がなんとなくわかったのではないかと思います。

 

 今回はあまり量子論らしいことをやれていませんが次回ないしは次々回以降では本格的に量子論っぽいことを扱っていきますのでどうぞ引き続きご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流れがわかる流体力学part8(渦糸の運動で成り立つ保存則について)

今回から何回かに分けて二次元上の渦について見ていくことにいたします。

まず始めにこの記事では渦糸の複素速度ポテンシャルを求め、複数の渦糸がある系に見いだされる保存量を4つほど導出します。

 

【目次】

 

渦糸の定義

 

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まずは、上のような円の内部に一定の渦度を持った流体を考えていきます。このときの循環は、ストークスの定理を用いれば、

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となります。このような渦において、循環が一定のままで半径aを0に近づけていく極限を取っていくことにします。つまり、

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という極限を考えるのです。この極限を考えると、循環の大きさが一定のまま渦のサイズだけが0になっていくことになります。このようにサイズが0で有限の循環を持った渦を渦糸といい、これが本稿のメインテーマであります。

 

渦糸の流れ関数

次に渦糸の流れ関数を求めていきます。

まずは渦糸の位置を原点として、そのときの流速ベクトルの各成分を、

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と置きます。このローテーションを計算し、それが原点以外で0になるようなαを求めます。(渦糸の場合は)

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よって流速は、

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になります。この時の循環は、

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と計算されますので、Γを用いれば、

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になります。さらに流速を流れ関数を用いて表すと、

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となるので、

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を用いて流れ関数を求めると、

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より、

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であることがわかります。

以上で一つの渦糸が系にある場合の流れ関数を求めることができました。以降はこの渦糸が複数個ある場合を考えていきます。

 

複数の渦糸がある系での保存量

まず、下図のように、系に複数の渦糸があったとします。

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i 番目の渦糸に注目して、これとj番目の渦糸との距離をrijとおきます。また、i番目の渦糸の循環はΓiとしておきます。そうすると、i番目の渦糸のある位置における流れ関数は、

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と表されます。ですから、i番目の渦糸の運動は、

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で表されることがわかります。(上の式は流れ関数の定義式そのものです)

 

保存量①〜エネルギーっぽいやつ〜

そこで

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という物理量を導入します。Hをk番目の渦糸のx座標xkで微分すると、

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になりますので、流れ関数の定義式より、

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が成り立ちます。ここで解析力学に出てくるハミルトニアンについて成り立つ式:

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を思い返せば、今回導入したHとハミルトニアンはほとんど同じ形式の式を満たしていることがわかります。このことからHは保存量になるような気がします。実際に時間で微分すると、

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ですので、やはり保存量です。これは解析力学との類推でエネルギーなのではないかと思われるわけですが、エネルギーとはなんら関係がありませんので注意が必要です。

 

保存量②〜運動量っぽいもの〜

Hは渦糸の相対距離にしかよりませんので、微小な平行移動に関してこれは不変であります。つまり、全体をδxだけ平行移動した時のHの変移をδHとして、

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が成り立つのです。これはすなわち、

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であることを示しています。この式でΓを質量とみなすことで上式が運動量保存則に対応していることがわかります。

 

保存量③〜慣性モーメントっぽいもの〜

前節では平行移動に関する不変性に注目しましたが、それと同様のことが回転についても言えそうです。そこで座標を微小角度δθだけ回転させることを考えます。この時座標成分は、

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と変換されます。δθが微小であれば赤字のように近似されますので、結局

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のように変化します。この変化に関してHの変化量δHは不変ですから、

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という式が成り立ち、

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が成立することが示されます。これは、Γを質量と見做せば慣性モーメントに対応しています。(慣性モーメントっぽいというだけ、慣性モーメントとは違います。)

 

保存量④〜角運動量保存則っぽいもの〜

最後の保存則はすこし凝った方法で導出されます。まずHの変数を全てλ倍すると、

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となります。両辺をλで微分すると、左辺は

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となり、右辺は

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となります。そこでλ=1を入れると、

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の成立が言えます。この式でΓを質量と見做すことで角運動量に対応していると考えられます。この導出方法は初めて見ると不自然に思われるかもしれませんが、熱力学や解析力学などでよく出てくる一般的なものです。

 

以上で4つの保存量が導かれました。せっかくですので次回はこれらを用いて渦糸の2体運動を解いていきます。

 

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