竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

読めばわかる一般相対論5(曲率/平行移動/part1)

これまでは平面上で考えてきました。(一般の次元の場合、平面という表現は不適当ということになるかもしれませんが)しかし相対論で考えていくのは曲がった空間、つまり2次元でいうところの曲面になります。そこで曲面に移るとどうなるのかという話ですが、以降考えていく座標系が十分局所的に定義されているのであれば、結局平面でのこれまでの議論が全て曲面でも成り立つということが知られています。このことの確認は今後のブログで考えてみようと思います。

 

《曲率》

まず以下のような計算をしていきます。

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という演算記号を定めます。ABという演算に可換性があれば0となりますね。

ここで

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と置き換えると

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になります。

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を計算していくと、、

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ここで①−②をしたときに消えるであろう項には青いアンダーラインを引きました。

②は①でiとjを入れ替えただけなので、すぐに値が分かり、

 

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です。

ここで、

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というふうにRを定めました。

上式の左辺をリーマン曲率テンソルといい、空間の曲がり具合を特徴づけるテンソルになっています。とはいうものの、これだけではどうしてこれが空間の曲がり具合を表すのかはさっぱりわかりません。これを理解するにはこれから定義する「平行移動」という考え方が必要になります。

 

《平行移動》

まずは曲線に沿った微分を考えます。平面上の直交座標系でしたら、

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となります。これを曲面上の曲線座標に拡張するには、

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とするのが自然で、(曲線座標における共変でない偏微分は意味をなさないので共変微分で代用して考えるというのは自然なはずです。)

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を曲線cに沿ったベクトル場Aの微分と定義します。

 

つぎに平行について考えるわけですが、下のような地球儀を考えればわかるように

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ルート①とルート②を辿って北極まで平行移動させると結果が違っています。

このことから、曲面上で考えるとき、平行移動はその平行移動させるルートを決めなくては定まらないとわかります。

そこで、これからは単に平行移動というのではなく、曲線cに沿った平行移動のようにいうようにします。

そして曲線cに沿った平行移動とは、曲線cに沿ってベクトルを動かしても微動だにしないという意味で

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を満たすことと同地であると定義することが自然でしょう。

ここで平行移動とは曲面に住む曲面人の立場で考えていることに注意が必要です。

我々も結局曲がった空間のわからない者ですから我々の考える平行移動もより高次の人が見れば曲面人が考える平行移動とまったくパラレルなので、このような平行移動の定義に従うほかないのです。

 

次回はこの平行移動という概念を用いて共変微分とリーマン曲率テンソルの図形的解釈を与え、さらにリーマン曲率テンソルの添字についての対称性を見ていきます。おそらく次回をもって一般相対論の準備は最低限しか触れていませんが完了します。

hannak.hatenablog.com