竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

複素積分をぱぱっとpart2(複素積分の定義/平面上の集合の分類)

今回は複素積分の基本を見てみます。

実数の積分から複素数積分に移るときの一番の変更点は積分の範囲が区間から経路になることです。

実数関数の積分の範囲を指定するのには’’0からπまで’’というように始めと終わりさえ言えばよかったのに、複素積分ではこのような言い方はできません。なぜなら始点が0で終点がπの積分経路は下のように無限に存在するからです。

f:id:Hannak:20210907124135p:plain

さらに関数の出力も違います。

実関数のケースでは出力は1変数でしたが、複素関数では出力は複素数ですからその実部と虚部を分けて考えれば2変数と言えます。これを平面ベクトルとみなして考えると、複素積分実数平面上のベクトル場の積分に相当していると言えそうです。

そうすると、複素積分を定義するには、実数平面上のベクトル場の線績分からの拡張を考えた方が自然だと思われます。

 

ベクトル場の線積分は、

f:id:Hannak:20210907124138p:plain

のような経路を考え、この平面上にベクトル場F(x,y)が定められているとして、

f:id:Hannak:20210907125306p:plain

で与えられました。これを複素数のケースに拡張すると、

f:id:Hannak:20210907124147p:plain

となります。そこで、これを複素積分の定義とします。

 

ここで、再びベクトル場の線微分を考えると、確か

f:id:Hannak:20210907124150p:plain

のようにも表記することができるのでした。これに対応する複素積分として、

f:id:Hannak:20210907124156p:plain

が考えられます。ただし積分経路を、

f:id:Hannak:20210907124153p:plain

のようにパラメータ表示しました。これが本当に正しいかは、上で書いた複素積分の定義より示すことができ、実際に計算すると

f:id:Hannak:20210907124159p:plain

となり、示されました。

 

また、ルートの辿り方について次の性質を持ちます。

f:id:Hannak:20210907124203p:plain

ただし、次のように経路を定義します。

f:id:Hannak:20210907124349p:plain

 

最後に平面上の集合の分類をしていきます。次回以降で述べる定理や補題にはここでの分類がよく出てきます。

 

《曲線の分類》

①曲線が連続

曲線がパラメータtを用いて、z=z(t)=x(t)+i y(t)と表せたとして、x(t)とy(t)が連続であること。

 

②曲線が滑らか

曲線がパラメータtを用いて、z=z(t)=x(t)+i y(t)と表せたとして、x(t)とy(t)がC₁級でかつ、x'(t)=y'(t)=0とはならないこと。

 

③曲線が区分的に連続/区分的に滑らか

曲線を有限個に分割することで各々の分割された範囲では連続になる、あるいは滑らかになるようにできるもののこと。

 

④閉曲線

始点と終点が一致している曲線のこと

 

ジョルダン閉曲線(単純閉曲線)

閉曲線のうち、自分自身と交わらないの。

 

《面の分類》

①近傍

普通Δ(w,ε)で表記し、{z: |z-w|<ε}なる集合のこと。

 

②内点

「Dの内点w」はεを適当に選んでΔ(w,ε)がDに含まれるようにできるもののこと。

 

③内部

「Dの内部A」とはAの要素が全てのDの内点であるもの。

 

④外点

「Dの外点w」とはεを選んでΔ(w,ε)とDが交わらないようにできるもの。

 

⑤外部

「Dの外部A」とはAが全てのDの外点の集合であること。

 

⑥境界点

「wはDの境界点」とはwがDの外点でも内点でもないこと。

 

⑦境界

「CがDの境界線」とはCがDの全ての境界点の集合であること。∂Dと表記する。

 

⑧閉包

DとDの境界の和集合を閉包という。つまり、DU∂D

 

⑨開集合

D−「Dの境界」を開集合という

 

閉集合

D+「Dの境界」を開集合という。

 

《面の種類》

①連結(弧状連結)

 集合内の任意の2点を選んで、この2点を結ぶ曲線をその集合内に書くことができること。

 

②領域

連結でかつ開集合であるものを領域という。

 

③単連結

連結な集合内に考える任意のループはある1点に集約できる。(穴が空いていないということ)

 

 

いろいろ列挙したところで今回は終わりにしたいと思います。次回は複素積分の公式を導出していき、いよいよ解析っぽくなってきます。

 

今回の続き

hannak.hatenablog.com

 

サイトマップ

hannak.hatenablog.com