竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

読めばわかる一般相対論part6(平行移動と曲率/平行移動と共変微分)

前回導入した平行移動という概念を用いると、共変微分やリーマン曲率テンソルの図形的な意味が理解できます。順に考えていきましょう。

 

《共変微分の図形的意味》

まずはベクトル場Aの平行移動を考えます。

2次元ですとちょうど下図になります。

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 ここでεは十分小さいとします。

このときu+εでのベクトルAの値と、uでのベクトルAを u+εまで平行移動した時の差について考えます。

今回はεが十分小さいことから、この差がεに比例すると予想できるので、εでその差を割ってしまいます。

 ただし、

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と定めます。そして

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と計算を進めます。ここで

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を用いると、

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となります。なんと、共変微分になってしまったではありませんか(驚愕)

つまり

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ということができます。

これを用いて平行移動した後のベクトルを、する前のベクトルで表すことを考えます。

 

このことより

 

 

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とわかります。

つまり、

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が成り立つのです(近似的にですが)。

何度もしつこいですが、この式もやはりεが十分小さいときにのみ良い近似で成り立つことに注意が必要です。

 

《リーマン曲率テンソルの図形的意味》

 

ここで下の図のように二つのルートで行った平行移動の結果の差を考えます。

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この時平行移動の仕方は

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のように定めます。さらに平行移動した結果を

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というように定めます。先程の平行移動についての結果を用いて計算すると、

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となります。ここで赤いアンダーラインは平行移動した2つの結果を引けば打ち消し合うであろう項をさしています。また以下の手書きの注意点にも気をつけてください。

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もう片方についても同様で、これらの差は、

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なんとリーマン曲率テンソルは2つの平行移動の結果の差に比例していることが示されているではないですか。

イメージが容易なように曲がっている曲面上で考えるほど、2つの平行移動した結果の差は大きくなります。(ただし円柱の側面のように曲がっているように見えるが計算するとその値が0となることもあります。)

リーマン曲率テンソルがその2つの平行移動した結果の差を表しているということは、リーマン曲率テンソルが名前の通り、空間の曲がり具合を表していると理解できます。

 

これでリーマン曲率テンソルと共変微分の図形的イメージを把握することに成功しました。

これで基本的な一般相対論への準備はほとんど終わったわけですが、まだ2、3個些細な(といっても今後の展開のkeyとなる)公式の導出が済んでませんので、次回はそれを紹介します。そして次次回からはいよいよ一般相対論を扱うこととします。

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