竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

ざっくり分かるフーリエ解析part1(フーリエ展開の導出/複素型フーリエ展開の導出/フーリエ展開の数学的適用例)

日2021年6月24日から、フーリエ解析を実際に物理の分野で使えるようになることを目標としたコラム「ざっくり分かるフーリエ解析」を連載いたします。十数本の記事に収めたいところですが今の段階ではこれがどのくらい続くのかは想像もできません。それはこのフーリエ解析というものが物理の分野のあらゆるところで使われているため、いくらでも記事の材料はあり、あとは私がきちんとまとめられるかだけが問題であるからです。今のところはこれともう2本の記事でフーリエ解析の数学的基礎をざっくりとおさえ、それ以降はさまざまな分野におけるフーリエ解析の使われ方を見ていきたいと思っています。具体的には基本的な振動波動論、光学、電気工学、量子論、確率論、熱伝導などを取り上げる予定です。

 

【目次】

 

フーリエ解析とは

ーリエ解析とはずばり関数を「振動数の異なる三角関数の和の形」に展開することで解析を試みる分野であると個人的に認識しております。そのうち、対象となる関数が周期的であれば、三角関数の加算無限和(つまりシグマの形)で表され、その表し方をフーリエ級数展開と言います。一方で対象となる関数が周期的でなければ、それは三角関数の不可算無限個(つまり積分の形)で表され、それをフーリエ変換というのです。フーリエ変換フーリエ級数展開の拡張として導出されますから、まずはフーリエ級数展開を考えます。

 

周期が2πのフーリエ級数展開

の記事では「ざっくり分かる」ことを目指していますから、多少後ろめたさがあるものの、次のような仮定をします。

それは、都合の良い周期2πの関数は

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の形に展開できるとするのです。フーリエ解析の生みの親であるフーリエさんも始めこのような仮定を行い理論を構築していったといいますから、初めの段階でこれを正しいとして考えていき、連載の最後にこれの正当性を示すという形をとっても悪くは無いと思います。

そして今後のために次のような単純な積分を行います。

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このδはクロネッカーのデルタと呼ばれ、k=lのとき1でほかは0を表します。

これを用いて次のように、coslxをはじめの式にかけて積分します。

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二つ目の等号では項別積分可能と仮定しています。

これはk=0では成り立ちませんので別途計算しますと、

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同様にsinlxをかけて積分すると、

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ですので3式より、

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となることがわかります。つまり上でした仮定のもとでは、このような係数ak、bkを用いて

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と展開できるのです。これが周期2πの関数に対するフーリエ級数展開の公式です。

 

一般の周期関数のフーリエ級数展開

れまでの議論で周期πの関数でのフーリエ級数展開を求めました。しかし、フーリエ級数展開したい関数がいつも2πであるとは限りません。そこで、一般の周期の関数のケースを考えます。

まず周期2Lの関数f(x)があったとして、これを横に引き伸ばすか押し縮めるかして無理矢理周期を2πとします。

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上図のようなイメージです。この横に引き伸ばされた新たな関数をF(x)とおきます。

F(x)は周期2πですからこれまでの議論により、

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ただし、

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フーリエ級数展開できます。次にf(x)とF(x)の関係性は、高校数学の知識により、

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であることがわかります。そこでF(x)のフーリエ級数展開の式をf(x)を用いて表していくと、

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であり、係数の方は、k≠0なら

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k=0なら、

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となります。同様の計算で、

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となることがわかります。以上をまとめると、一般の周期の関数f(x)のフーリエ級数展開は、その周期を2Lとして、

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であることがわかります。これがフーリエ級数展開の公式です。

これで今回の目標は達成されたわけですが複素数を用いてこれを表現すると非常に見栄えが良いですし、係数を求めるための積分計算も容易になります。ですので次節では上の公式を複素数で表すことを考えます。

 

複素型のフーリエ級数展開

ずは三角関数複素数で表します。そのためには、オイラーの公式

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を変形させて、

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となることを用いるのが良さそうです。これをフーリエ級数展開の係数を定める式に代入すると、

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となります。そこで

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という新たな係数を定めると、akとbkはこれを用いて、

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と表されます。これをフーリエ級数展開の公式に代入すると、なんともありがたいことに

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のようにまとまることがわかります。お節介ですがc0の立ち回りに少々注意を要します。本当にほんの少しですが。

これを改めて書くと、

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 という素晴らしいフーリエ級数展開の公式が現れました。これで一安心です。せっかくこんなにシンプルにおさまったのですから、これを実際の関数に適用してみます。

 

フーリエ級数展開の適用例

回は下のような周期2πの関数をフーリエ級数展開してみます。

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L=π,f(x)=x²として、ただ単に上の公式に当てはめるとCk

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と計算されます。ですからf(x)のフーリエ級数展開は、

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となります。実はこの式から面白いことがわかりまして、x=πを代入すると、

 

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となり、整理すると、

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という事実がわかります。実はこの1/k2の無限級数和を求める問題はbesel問題と呼ばれる有名問題で、フーリエ級数展開を用いなくとも解けますがなかなか大変です。この問題への4つのapproachを過去に取り上げましたので興味のある方はご覧下さい。

自然数の2乗の逆数和を求める4通りのapproach(前編) - Do-Douの大学聖日記

自然数の2乗の逆数和を求める4通りのapproach(後編) - Do-Douの大学聖日記

この計算だけでフーリエ級数展開が身につく方はあまりいらっしゃらないでしょうから自分の好きな周期関数で実際に計算してみるのがおすすめです。

 

れで一応フーリエ級数展開の数学的基礎は紹介できました。次回はこれを拡張することでフーリエ変換を導出しますのでよろしければご覧ください。

 

【続き】

 まだありません

 

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