竜田揚助の数理科学解説所

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ざっくりわかるフーリエ解析part2 (フーリエ変換の2通りの導出/デルタ関数のフーリエ変換)

回はフーリエ級数展開を見ていきましたが、これは周期関数しか扱えないという重大な欠点がありました。普通、関数といえば非周期的ですから、似たような仕組みでもって非周期関数も扱える方法がないか気になるところです。実はそのような仕組みが存在することはとっくの昔に知られていて、フーリエ変換と名付けられているわけです。この回ではフーリエ変換というものを2通りの方法で導出していこうと思います。

 

【目次】

 

フーリエ変換の導出①(フーリエ級数展開からの拡張)

非周期関数にフーリエ級数展開的なことを施すには周期を気が遠くなるほど大きくすれば良さそうです。つまり、フーリエ級数展開の公式

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においてL→∞としたものを考えるのです。

いきなり極限に飛ばすと頭がパニックになってしまいますのでまずは整理してみます。上の二式をまとめると、

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となります。ここで下のようなmkを定めます。

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すると、

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となり、さらにΔmkをmkとmk+1の差分つまり、

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のように定めると

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となります。ここでL→∞に飛ばすと、まず中括弧の中の部分は、

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となります。(上式のようmkの関数F(mk)を定めました。L→∞ならmkは連続的に変化しますから、F(mk)は連続関数です。)

そうすると、

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のように、リーマン積分の定義により、積分に移行します。以上をまとめると、

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のように変換できました。(mというのは離散値のイメージがありますのでm→kと置き換えました。)この変換をフーリエ変換と言いますが、別に係数1/2πは

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のように分配しても大差ないですから、

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のようにフーリエ変換を定めることもできます。個人的にはこの書き方の方が係数に対称性があって好みですので今回はこちらをフーリエ変換と呼ぶことにします。

これで周期を持たない関数に対しての「フーリエ級数展開的なもの」を求めることができました。せっかくですので一つ例を挙げて考えていきましょう。

 

フーリエ変換の例(デルタ関数フーリエ変換)

なかなか特徴的な関数の一つにデルタ関数というものがあります。平たくいうとパルスのような概形で

  • x=0で∞/x≠0で0
  • (偶関数)
  • −∞から∞までの積分が1

というのが定義です。デルタ関数についてまとめた記事もございますので合わせてご利用下さい。

デルタ関数の定義と性質を総まとめ(随時更新中) - Do-Douの大学聖日記

それのフーリエ変換は先程導出した公式に従って計算すると、

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F(k)の方は、

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となり、意外なことに定数になります。

(途中に出てきたθ(x)というのはヘビサイトの階段関数で、xく0で0、x0で1となるものです。実際に階段関数を微分してみるとデルタ関数になることは絵を描いてみると分かります。詳しくは先ほど紹介したデルタ関数についての記事に書いてあります。)

ですからひとまとめにして書けば、

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というかなり意外な結果になります。

実はこの関係式を用いるとフーリエ変換が導出でき、しかもこの式自体はフーリエ変換を用いずとも証明できますので循環論法にならずに済みます。ですので次にこのことを詳しくみていきましょう。

フーリエ変換の導出(デルタ関数の性質から求める方法)

まずは本当に先程のデルタ関数についての式がフーリエ変換以外の方法で求まるのかを確認していきます。左辺について、

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となり、さらにこの関数は、

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ですので偶関数です。最後に実数全体での積分は、

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ですので、これはデルタ関数の定義に一致します。以上で、

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の成立をフーリエ変換を用いることなく示せました。

次にこれを平行移動すると、

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となりますから、デルタ関数の抽出性を用いて次のような計算が可能です。

(デルタ関数の抽出性というのも先ほど紹介したデルタ関数についての記事に書いておりますのでよろしければ参考にしてみてください。)

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ゆえに、

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となり、フーリエ変換が導出されます。

 

これで2通りの導出方法を紹介し終わりました。どちらも良い証明導出方法ですが厳密性で言うなれば後者の方が優れていますね。以上でフーリエ変換が分かりましたので次回はこれとフーリエ級数展開についての基本的でしかも重要な定理をいくつか紹介いたします。

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