竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

線形代数のまとめノートpart1(行列の導入と基本的な性質)

私最近気が付いたことがありまして、数学書などを読んでいるうちに何となく行列のことを理解した気になっていたのですが、いざ自分で道具として使ってみると全く手が動かないのです。それもそのはず実は今まで線形代数を勉強したことがありませんでした。これはまずいということで勉強しようとなったわけですがなかなかはかどりません。そこで自分を鼓舞するという意味もこめてこのブログにわかったことを随時発表し、モチベーションを維持しようと思ったわけでございます。なるべくシンプルにわかりやすく書いていこうと思いますのでもしよろしければご覧ください。

 

【目次】

 

 

行列の導入

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のようにmn個の数を長方形に並べたものを行列と言います。横の並びを行と言い、縦の並びを列と言います。ちょうど下図のような感じです。
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これは行数がm個列数がn個の行列になっていますがこれをm×n行列と言います。

行列の種類

次に行列の種類を見ていきます。

零行列

全ての成分が0である行列を零行列と言います。

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正方行列

行数と列数が同じものを正方行列と言います。正方形に並ぶので正方行列ですね。

それと、正方行列において対角線上の数の組みを対角成分と言います。

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対角行列

正方行列のうちで対角成分以外0であるものを対角行列と言います。

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スカラー行列

対角行列のうち対角成分が全て等しいものをスカラー行列と言います。

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単位行列

スカラー行列のうち対角成分が全て1であるものを単位行列と言います。

 

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転置行列

まずは転置を取るという作業の意味を見ていきます。

まず任意の行列Aの(i,j)成分がaijとして、その時Aを

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のように表すことがあります。これの転置を取ったものをBとして(I,j)成分をb ijとします。この時

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をAの転置と言います。具体例を図を用いて考えると、

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です。

転置を取るのを2回繰り返したとき行列の(I,j)成分が下のようにa、b、cと変わっていったとして、

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転置の定義より、

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とわかりますから、結局
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がわかります。つまり転置を2回行うと元の行列に戻るのです。これを先程の具体例で確認すると、2回ひっくり返すだけですので視覚的にすぐに実感できます。

対称行列と交代行列

転置を取った時に変化しない行列を対称行列、各成分が元の行列の成分の正負をひっくり返した行列になるものを交代行列と言います。

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次に行列の計算方法について考えます。

 

行列の計算法

※以降は

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というふうに成分を表記します。

(1)足し算

ベクトルの足し算は簡単で同じ成分同士を足していきます。

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のようになりますね。「同じ成分同士を足す」という定義上、AとBで行列の形が異なっていたら足し算は行えないことに注意してください。

足し算の具体例は

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と言った感じです。

行列のスカラー

行列にスカラーを掛け合わせるのも簡単で、足し算の時のように各成分にスカラーを掛けていきます。つまり、

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です。具体的には

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のようになりますね。これと足し算の定義により引き算の方法が分かりますね。

掛け算

最後に掛け算ですが、これは今までと違い厄介で

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という計算則に従います。行列ABの(I,j)成分を取り出して考えると、

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Aのi行とBのj列の内積

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となります。何度も計算すれば慣れますね。ちなみに行列の掛け算の定義上Aの列数とBの行数が一致してなくてはなりません。

 

行列計算の性質

  1. A+B=B+A
  2. (A+B)+C=A+(B+C)
  3. A+0=A
  4. (AB)C=A(BC)
  5. AE=A
  6. A(B+C)=AB+AC

これらはスカラーでの計算法則(小学校で習うやつ)と変わりありませんね。1,2,3,5は(i,j)成分を取り出して計算してみるとすぐにわかりますが意外にも4,6の証明はすぐにわかるというほど簡単ではないように思えますのでここで紹介いたします。

【4の証明】

まず行列の型は

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であるとして計算します。ABの(I,j)成分は

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ですので(AB)Cの(i,j)成分は、

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となります。一方でA(BC)の(i,j)成分は同様の手順で

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と求まります。両者は一致するので4は示されました。

【6の証明】

まず行列の型は

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とします。左辺の(i,j)成分を計算すると、

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となり右辺を計算すると、

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となります。両者は一致しますので6も示せました。

つぎに転置計算についての性質を見ていきます。

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①②④についてはすぐにわかりますので③のみ言及いたします。

まずABの(i,j)成分は

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ですのでABの転置行列の(i,j)成分は、

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になります。一方で

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ですから両者は一致し③は示されました。

 

一応これで基本的な計算方法とその性質は確認できましたので次回は行列の正則性を見ていこうと思います。

 

【次回】

 

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