竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

ルジャンドル変換の導入

熱力学や解析力学を勉強する際に必ずルジャンドル変換というものに出くわしますが本に載っている解説が簡潔すぎていまいちわからないことも少なくないように思えます。そこでここでは数学的な厳密さは置いておいて物理において最低限必要な理解を図を用いてわかりやすく解説していくことといたします。

 

【目次】

 

ルジャンドル変換の意図

ルジャンドル変換とは関数の変換則の一種で「ある関数の情報をその接面の情報で書き換えよう」と言った意図のもとで構築できます。

 

ルジャンドル変換の導入

まずは一変数関数の場合で考えます。

下のように関数のグラフがあったとして、そのグラフ上のすべての点における接線を考えます。 

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そうすると接線は上図の赤線のように無数に引くことが可能でその接線のうち傾きがpであるもののy切片をf*(p)と置きます。つまり下の式のようにあらわすのです。

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このような表現が可能であるにはpに対してy切片がただひとつ定まらなくてはいけないのですが、これはつまり二回微分可能な関数に議論を絞れば

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であることが条件となります。言い換えれば、グラフが上か下に凸であるということです。当然xにおけるグラフの傾きpは、

 

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ですから、先ほどの接線の方程式は点(x₀、f(x₀))における接線であるとすれば、

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が成り立ちます。これをf*(p)についてとくと、

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であり、x₀→xと置き換えれば、

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がわかります。この式が実はルジャンドル変換の公式です。

 

ルジャンドル変換の検証

これは本当にルジャンドル変換という立派な名前が付けられるほど優良な変換なのでしょうか。もしもこの変換により元の関数の情報に損失があった場合は使いずらい変換であるとみなされますし、逆にきちんと元の関数の情報をそっくりそのまま保持していればよい変換といえます。ルジャンドル変換というくらいですからきっと後者なのでしょうけれど一応ここで確かめてみます。

まず接線は、

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であり、pは取りうる値すべてを自由に動きますからこれは直線群となります。この直線群の包絡線としてf(x)が再現されれば、ルジャンドル変換によって元の関数の情報に損失がないと言えます。以下はこれを確認していきます。

まずxを固定して考えます。

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この時青線上には直線群との交点が無数にあり、包絡線となるのはこれらの交点のうち一番下か一番上にあるやつですから、直線群のy軸成分をpで微分すると

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となります。ゆえに、直線群のうち包絡線をなす直線の傾きpは、

 

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を満たします。これをpについて解き、p=g(x)とおきます。それを用いて包絡線のy軸成分を計算すると、

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となるので、無事に包絡線が元の関数f(x)を再現することを示せました。

 

ルジャンドル変換の練習

次にルジャンドル変換の練習をほんの少しいたします。

①y=x²のルジャンドル変換は?

②y=exp(x)のルジャンドル変換は?

 

解答は下になります。

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pの範囲はケースバイケースですから毎回チェックが必要ですが微分さえできれば簡単ですね。

 

以上でルジャンドル変換についての解説は終わりになります。