わかりやすい解析力学part3(シンプレクティック条件/リウヴィルの定理)
今回はまず正準変換と同値関係にあるシンプレクティック条件を求め、それをもとに位相空間上で成り立つリウヴィルの定理というものを導出します。
【目次】
シンプレクティック条件の導出
まずは計算を簡潔にするために、q,pをxで、Q,PをXで表します。そして、
のような変換を考えます。以降はこの変換が正準変換である条件を求めていくわけです。まずp,qについては正準方程式が成り立つので、
となります。(アインシュタインの縮約規則を用いています。)
ここでJijというのは、行列表示で
を満たすものとします。
そうすると、
と変形されます。ここでx→Xの変換が正準変換である条件は、
でありますから、結局のところ
を満たすことが正準変換の条件で、これを行列で書くために
を定めると、上の式は
となります。これがシンプレクティック条件と呼ばれるもので、これを満たすx→Xという変換は正準変換ですしその逆も成り立ちます。
リウヴィルの定理
つぎにシンプレクティック条件を用いてリウヴィルの定理を示します。
位相空間上に上のような領域Dがあって、この領域は時間変化するはずですから時刻t₁のときのDをD₁、時刻t₂のときのDをD₂としておきます。
リウヴィルの定理の主張は、「この領域の面積が時間変化しない」というものです。
つまり「D₁=D₂」であります。以下ではこれを示していきます。
まづD₁の面積は、
になります。ここで先ほど定めたMという行列は正準変換x→Xに関するヤコビアンになっていることに注意してください。ヤコビアンの行列式は、シンプレクティック条件でデターミナントを取って、
ですので、
となり、
であることが示されましたので証明完了です。
今回の内容は以上になります。次回はポアソン括弧について成り立つ基本的な性質を見ていきます。
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