竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

エルミート多項式の性質まとめ(随時更新)

今回はエルミート多項式という多項式の導入とその性質を見ていきます。エルミート多項式とは

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で与えられる多項式のことです。全然多項式じゃぁないじゃないかと思われるかもしれませんが実際にn=1、2、3あたりで計算してみると多項式であることが確かめられますし、そもそもexp(-x^2)をいくら微分しても(多項式)×exp(-x^2)の形になることからもわかります。この多項式は私が量子力学調和振動子を勉強していた時に出てきまして、備忘録程度にその性質をここに書き留めておこうと思い立ったわけです。それでは見ていきましょう。

 

目次

 

 

エルミート多項式の母関数

母関数とは数列の情報を完全に含んだ関数のことです。ですから、もしも母関数がわかれば数列をそこから導き出すことができます。今回のエルミート多項式の場合ですと、’’その母関数をべき級数展開してできる多項式’’のn次の係数がn番目のエルミート多項式を表してくれます。言葉だけでは具体的にイメージしにくいので実際に見ていきます。まず

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がエルミート多項式の母関数です。以降はこれが本当にエルミート多項式を与えてくれることを確かめます。

まずこれをべき級数展開すると、

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であり、右辺の微分部分を詳しく見ていくと、まずn=1の時は、

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であり、同様にn=2だと、

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になります。この調子でどんどん計算していくとnにおいては、

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となりますから、最後にt=0を代入して、

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と分かります。これをべき級数展開した式に戻すと、

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となり、確かにエルミート多項式が出てきました。これで検証完了です。

 

エルミート多項式の定義式

始めに

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のことをエルミート多項式といいましたが、

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一般には上式の常微分方程式を満たす関数としてエルミート多項式を定義するようです。以下ではこの微分方程式をエルミート多項式が満たすことをたしかめていきます。

そのためには母関数を用いるのが有効です。

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をxやtで微分してみると、

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のようになります。

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という式に①~③を代入すると、(この式自体は実際に計算してすぐに確かめられます。)

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となり、tのn次の項を比較することで、

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が得られますので確かに先ほど提示した常微分方程式を満たしています。

 

エルミート多項式の各係数が満たす漸化式

エルミート多項式を求めるためには

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を計算すればよいのですがいささか面倒なのでこの多項式の隣接する係数間で成り立つ漸化式を求めておきます。

まずはエルミート多項式を以下のようにあらわします。

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そしてこれを

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に代入します。まず微分の部分を計算すると、

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になりますから、代入して、

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が得られます。最後にxのk次の項を比較すれば、

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となり、整理すれば、

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が得られます。これなら小学生でもエルミート多項式を求めることができますね。

 

エルミート多項式の直行性

エルミート多項式HmとHnの積に重りづけの関数exp(x²)を掛け合わせた関数の積分は以下のようになります。

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これは母関数を用いて計算していくことで確かめられます。

母関数は

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でした。これを掛け合わせて、

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という式を作ります。この両辺を実数全体で積分すると、まず右辺について、

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となります。これはガウス積分と呼ばれるものです。

左辺については、

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①=②なので、

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となります。上の赤い式はマクローリン展開をしています。わざわざマクローリン展開をしたのは、多項式の次数ごとに係数比較するためです。実際にtのn次,sのn次の項を比較してみると、

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となり、tのn次.sのm次(n≠m)の項は0となります。

以上で初めに述べた式の成立を示すことができました。

 

これで基本的な性質は紹介し終えました。今後気づいたことがありましたらさらに書き足していく予定です。