竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

流れがわかる流体力学part5(流れ関数の導入とその意味)

今回からしばらくは二次元平面上の流体の動きを考えていきます。二次元の流体力学においては流れ関数という関数が非常に重要な役割を果たしますので、今回はその流れ関数というものを導入し、直感的な意味合いを紹介いたします。

 

【目次】

 

 

今回扱う系の確認

今回は以下の条件を満たす系を考えていきます。

非圧縮性/渦なし/二次元

渦なしとは渦がない状況で、流速ベクトルのローテーションが0であることが条件でした。

 

流れ関数の導入

まず今回は非圧縮性の流体なのでρ=const.となります。そのため、連続の式は、

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となります。(ρは密度、は流速ベクトル)この式を満たすためには、ある関数ψを用いて、

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と表せればよいです。これは実際に代入して確かめられます。さらに今回は渦度=0の場所を考えていますから、

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となり、速度ポテンシャルと同じようにラプラス方程式を満たします。ここで頭の整理のために速度ポテンシャルと流れ関数を比較してみます。

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この表からわかる通り、この二つはかなり似ていますね。

今のところはこの流れ関数のご利益を受けていませんが次回に複素速度ポテンシャルという、Φ+iψで表される関数を考えていくときっとありがたみがわかります。

 

流れ関数の意味

このままでは流れ関数についてあまりつかみどころのないまま終わってしまいますので、最後になかなか面白い性質を見てみます。

まず二次元平面上に任意の点A,Bをとり、二点を結ぶ任意の曲線を取ります。この状況を図にするとちょうど下のようになります。このとき、曲線ABを上から下へ横切っていく単位時間当たりの流体の量を求めていきます。

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分かりやすいように線素をとって拡大すると、

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となり、黄色い部分が微小時間Δtの間で通過する流体です。ですので、これらを足し合わせてΔtで割れば、求める値は

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となります。驚くべきことに通過する流体の体積は点BとAの流れ関数の差で表されています。

このことから、「流体は流れ関数が一定となる曲線を横切らない」ことが分かるので、

「流れ関数が一定の曲線=流線」

が成り立つとわかります。このことが分かればだいぶ馴染みやすいように思えますね。以上で流れ関数についての話は終わりましたので、次回は複素速度ポテンシャルを導入しそれに具体的な関数を与えてみることにします。

 

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