竜田揚助の数理科学解説所

数学、物理、について書いてます。

【流れがわかる流体力学】part9 渦糸の二体問題

前回導出した'渦糸についての保存量'を用いて、二次元流体中に渦糸が二つある場合の運動を解析することが今回のトピックです。

流体の状況は前回と同様に、二次元/完全流体/非圧縮性とします。

それでは早速、今考えたい状況を図にしてみることとします。そうするとちょうど下図のようになるでしょうか。Γ₁とΓ₂は渦糸の循環を表しており、r₁とr₂は渦糸の位置ベクトルになっています。

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この状況下では一方の渦糸が他方の渦糸の運動に影響を与えることで渦糸は二つとも動いてしまいますので微分方程式を立てようとすると困ってしまいます。しかし幸にして、私たちは前回の記事の内容から、保存量が存在することをすでに知っています。その保存量は4つありますから有効そうなやつから順に試してみましょう。確かハミルトニアンっぽい保存量がありましたので、それを使ってみると、

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となり、二つの渦糸の距離は一定であるという重大な性質を得ます。また、運動量保存則っぽいやつを使うと、

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になります。これは完全に古典力学における惑星のの二体問題と同じ構図では無いかということで、力学における二体運動と同様に"重心"を原点とする位置ベクトルを用いて記述していきます。そうするとちょうど下図のようにかけますので、

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"重心"を原点とする適当な平面座標を取ると、

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と表記されます。

この表記を用いて、角運動量保存則っぽいものを考えると、

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と計算されて完全に渦糸の動きを把握することができました。

 

渦糸についてもう少し詳しくみていくとカルマン渦などの面白い現象を取り扱うことができますが、とりあえず今回は二体問題だけ扱って、次回以降は別のトピックへ移りたいと思います。

 

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